先日、世田谷区成城にある吉田五十八設計の旧猪俣邸を見学してきました。世田谷区(一般財団法人世田谷トラストまちづくり)が管理していて一般に公開している数少ない近代数寄屋の名作です。
成城の閑静な高級住宅街の一角に旧猪俣邸はあります。周囲の住宅の6区画分くらいの広さがあり、庭も見どころの一つです。
内部は、伝統的な和風建築に見られる柱や長押、天井の回り縁といった部材をできる限り取り除き、すっきりとした近代数奇屋の特徴が随所に見られます。数寄屋造りの中に和と洋、真・行・草の空間を見ることができます。
閑静な住宅街に現れる数寄屋造りの門
門から玄関へのアプローチ
様々な形や大きさの石を巧みに配置し玄関への動線を演出しています
玄関から茶室へのアプローチ。石畳の割付により、客を導くようにデザインされています。
建具枠は八掛という枠を使用しています。行灯のような柔らかい照明が当たると、枠の存在感が消えます。
障子の桟は、テーパーが切ってあり、陰影がシャープになっています。引き込み戸の襖は枠の存在を消し、開けた時と閉めた時に、存在感が無くなります。
廊下の行灯は枠のエッジが出ないように加工されています。ダイニングとリビングの境にある欄間は一見ルーバーですが、見付に対して見込みが60mm以上あり、それが一本も反っていません。非常に丁寧なディティールになっています。
庭の飛び石も様々なデザインがあり、散策するのがとても楽しいですね。
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