飯田の住宅 2015 NGANO

構造 木造

3人家族の住宅を計画するにあたり、バリアフリーと冬季でも常に暖かな住空間が求められた。家族が集まるダイニングテーブルを住宅の中心に置き、その周囲にふたつの個室とリビング、水回りのボリュームを距離を取りながら配置した。その個室と水回りの隙間から外部の光と風を呼び込む計画とした。

ダイニングテーブルから各個室やリビング、テラスなどにいる家族の気配を感じつつ、光や風を感じられるとができる住宅を目指した。2Fはゲストルームとし、日々の生活は1Fで完結する計画である。将来的に、室内とフラットにつながるウッドデッキからスロープを新設し、車椅子で外出できるように計画している。

冬季は各室の温度差を無くし、建物全体を一定の温度で保つことができる空調計画とした。基礎は内断熱工法とし、深夜電力によるエアコンの暖気を床下に吹き込むことで床下に蓄熱する方式を採用した。暖気は床下に蓄熱されるとともに、各室の床に設けられたスリットにより、じんわりと室内に流れ込む。1階の室温が19℃から22℃の間で一日中どの部屋も均一に室温が保たれている。

エアコンはスマートフォンから1週間分のON・OFFタイマーを設定できる機器を取付け、気象予報を考慮して稼働時間を設定している。2.8kWのエアコン1台のみで全室の空調をまかなっている。翌日の天気予報を見ながら服を脱いだり・着たりするような感覚で温度設定を行っている。将来的には、天気予報から自動的に温度設定する仕組みの構築を検討している。冬季の太陽光を効率よく取得するために、東側に大きく開口を設けている。夏季は深い庇と外部に日射遮蔽ルーバーと日除けを取付け、直接光を遮る。計画地では、夏季に熱帯夜になる日が平均2日と少なく、夜間の冷えた外気による躯体冷却(ナイトパージ)が可能なため、夜間に引違サッシを10cm程度開けたまま施錠することで、冷気を躯体内に取り込んでいる。

太陽光発電と効率的な深夜電力を利用した床下エアコン・エコキュートにより、年間の電気代は8.5万程度に抑えることができている。


■設計
原 浩人/ハラヒロト建築設計事務所
構造 リズムデザイン
■施工
くましろハウジング
■構造・構法
主体構造 在来木造
基礎 ベタ基礎 表層改良
■規模
階数 地上2階
最高の高さ6.195m
敷地面積 1188.97㎡
建築面積 94.36㎡
(建蔽率40.83% 許容80%)
延床面積 106.18㎡
(容積率32.66% 許容300%)
1階 89.62㎡ 2階 16.56㎡
■敷地条件
近隣商業地域 準防火地域
前面道路幅員16.5m

■外部仕上
屋根/ガルバリウム鋼板立ハゼ葺き
外壁/ガルスパン(アイジー工業) ジョリバット(AICA)
開口部/アルミサッシ(SAMOS II他)
外構/コンクリート土間刷毛引き仕上 300角タイル
■内部仕上
床/バーチ無垢フローリングt=18
壁/ PBt=12.5+クロス、珪藻土、ガラスモザイクタイルt=5
天井/針葉樹合板現し+オスモカラー、珪藻土、PBt=9.5+クロス
水回り
床/ 長尺シート
壁/PBt=12.5+クロス
天井/ PBt=9.5+クロス