目黒の住宅 2014 TOKYO
構造 RC造+木造
構造設計 昭和女子大学 森部康司
photo:TORIMURA
敷地は目黒の閑静な住宅街の一角にあり、周囲は戸建住宅や賃貸住宅が密集している。コンパクトな建坪と2台分の貸し駐車場が求められたため、南面する道路からセットバックした位置に建物を配置した。施主からは夫婦と子どものための各個室、祖母のための介護ができる和室、書斎、ワークスペースが必要とされ、コンパクトでありながら、広がりのある空間が求められた。
個室と和室の距離感を保ちながら、各々の機能が緩やかにつながり、奥行きのある空間とするため、中央に水廻りを集約した化粧杉板による打放しコンクリートのコア=<ウチ>を設け、その周縁に、室の関係性に配慮しながら諸室<フチ>を廻らせた。<フチ>は引戸で仕切られ、開け放たれると一つながりの空間となる。
<ウチ>の北側はスノコ状の床を持つ吹抜け空間<内縁側>としている。
この<フチ>の中に設けられた<内縁側>は、風や光を取り込む環境制御空間である。夏~中間期は、温度差換気によるナイトパージを行い、卓越風の通り道となる開口計画としている。冬期は1階の床暖房により<ウチ>の躯体へ蓄熱することで、安定した熱環境を目指している。
屋根は太陽光発電パネルを南面させ、かつ、屋根の高さを抑えるため、大きな谷を持つ2連の切妻屋根とした。壁式鉄筋コンクリート造の臥梁から上部は、45×180の垂木が棟木を突き上げる木架構とし、棟木の成を抑えながら無柱の空間とした。2連の切妻屋根がフチとウチをおおらかに包んでいる。
化粧杉板による打放しコンクリートの<ウチ>が家族のコアとなり、その周縁で生活のシーンが緩やかに巡っていく住宅を目指した。