昨年竣工しました岐阜県北方町の「こやまかわせみクリニック」が第49回中部建築賞に入賞いたしました。
中部建築賞は中部圏域(愛知、三重、岐阜、静岡、福井、石川、富山、長野、滋賀)の地域社会の発展に寄与し、かつ「持続可能な社会」を目指すという時代の要請に対応し、地域と環境に根ざした優れた作品に対して、その功績を讃え、これを賞するという、素晴らしい賞です。
お施主さん、施工者と一緒に名古屋の名鉄ニューグランドホテルで行われた表彰式に出席してきました。
このような素晴らしい賞を頂けたのも、素晴らしいクライアント、共同設計者、施工者などの関係者のみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。
これからも、社会に対して貢献できるような建築を目指していきたいと思います。
審査員の山田先生から選評を頂きましたので、掲載させて頂きます。
平面プランを初めて見た時、従来の医院建築で見られる多様な用途を持つ諸室を、整然と並べる機能重視の枠から外れ、自由奔放に楽しく、面白く、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような平面計画に興味が湧いた。
クライアン卜からの要望は “元気な時にも立ち寄れる力フエ”のイメ一ジで落着きと賑わいのある「新しいまちの居場所」を設計して欲しいとの事。外観は、杉羽目板張りと、大きなガラス面の無機質的アルミ力一テンウオ一ルをリズミ力ルに組み合わせ、まるでおしゃれな一つの小さな街並みの様な佇まいの構成となっている。角地よりパ一クパスと名付けられたアプ口一チは、住民が気軽に敷地を通り抜けでき、風防室は診療時問外の待合い力フェコーナーとなる。 内科、小児科の西洋医学と、漢方、鍼灸を取り入れた医療を実践するクライアン卜は、子供から老人まで多様な患者を受け入れるため、待合室にはそれに合わせて多様なコ一ナ一が設けられている。
受付事務、診療、処置、レン卜ゲンといった諸室を小屋という単位に分解し、離散的に配置。その問の外気に抜ける空問は光と風を取り入れ、植木や薬草が植えられた小さな庭が眺められる。不規則に配された諸室により廊下部分は多様な患者が思い思いの場所で自由に時問を過ごす待合スペース(クリニックコリドー)となっている。各小屋は片流れ勾配屋根の木造在来軸組工法でコリドーをカバーする鉄骨造の大屋根は、各小屋の棟木の上部に固定され、上部から射し込む光によりコリドーに開放感を持たせている。又、天井は鉄骨梁に架けられた米松集成材の表し垂木掛けとし、連続感を持たせている。各諸室の入口にはヨーロッパの街灯風な照明器具でコリドー(中廊下)に地中海地方の異国の路地、古い街並みを想い起こさせる。
見学時にも子供から老人まで、診察までの退屈な待ち時問に本を読んだり珈琲を飲んだり、色々な場所を利用しているのを観ると、クライアン卜の要望に叶った建物だと評価できる。(山田 貴明)
こやまかわせみクリニック
設計:ハラヒロト建築設計事務所 原浩人
メゾン 松野由夏
神奈川大学 吉岡寛之
構造:森部康司
施工:大洞工務店
コメントを残す